上場会社対象セミナーレポート「できる若手が辞めていく、人財の定着が会社の未来を創る そのためにできること」

2020年1月29日10:00-12:00 プロネクサス主催セミナーレポート

テーマ

「できる若手が辞めていく、人財の定着が会社の未来を創る そのためにできること」

<セミナー内容>

・社員が辞める理由の1位は「社風や人間関係」(厚労省調査結果)

・研修や教育が効果を生み出しにくい理由

・エンゲージメント(貢献意欲、愛情)と業績との関係

・Crazy10の個人演習とグループ演習(各自の点数と理由について語り合う)

・組織の変革プロセスは、「関係の質」から「習慣の質」へ

・エンゲージメントを高める習慣化の肝は15分会議

・毎週15分会議で離職率も低減できる理由

<パネル討議>

日鉄日立システムエンジニアリング株式会社 人事部シニアマネジャー 片柳洋平さんが登壇し、導入したきっかけ、成果について語ってくださいました。ファシリテーターは、当社取締役の志田洋二。パネラーは、片柳さんと当社代表の嶋谷です。

志田:なにをきっかけに導入したのですか。当時の課題についてお聞かせください。

片柳さん:働き方改革でじっくり話をする時間がなくなってしまったのです。研修もありますが、研修受けていない人もいると温度差が出てします。エンゲージメントで点数つけるものはあるが、やりっぱなしになってしまうケースが多い。分析まではやるがそこで止まってしまう。Crazy 10の15分会議は習慣化なので研修に参加していなくてもできます。継続的に行動できるし、何よりも一緒に点数を上げてくれるサービスは見当たらなかったのです。

志田:どんな効果がありましたか。

片柳さん:雰囲気が明るくなりましたね。最初に取り組んだのはCtazy5「最近ねぎらいの言葉はあったか」。全員1点だったんです。ねぎらう必要性を感じていない人もいました。自分とは違う感覚の人がいるということを理解しないと改善できません。でも15分会議が楽しくなりました。足りない人もいるが、15分やることの効果を確実に実感しました。そのほか、先行チームが6回、後発チームが4回とまだ半分程度ですが、お互いをねぎらったり、参加者がほかの事業部の同期に話したり、リクルーティング時に学生に話したりと参加者が周りに話したくなる研修であり、定着化してきている印象もあます。また、これは全く想定していなかったが、各テーマが決まった答えが無いものであり、これを考え、自分の考えを話し、仲間の考えを聞くことで、「考える・話す・聞く」といったことへの訓練にもなっています。また、15分間を毎週取りまとめていく事がリーディングの訓練にもなっている気がします。数字で確実に出ていることとしては、ストレスチェックの結果が導入事業部が一番良かったですね。

志田:日本の会社はミッションが上からふってきてしまう文化。振ってくるとさらに下にふる。減点主義もあります。加点主義の会社は少ない。そうすると、失敗が言えなくなってしまう。日本のあり方である上意下達文化との戦いかもしれません。40代以上の人は上をよく見ますし、その形に慣れています。横とのつながりを作るのが苦手かもしれません。習慣が変わってきたことをどう感じていますか。

片柳さん:考えることが習慣化されてきていると感じます。

志田:脳は変化を嫌うといわれています。脳みそを使いたくない。習慣を変えるのが苦手。この中で朝起きて会社の机に座るまで決まっている人はどのくらいいますか?

習慣を変えるには違う要素を入れる必要があります。いろいろな組み換えをしてみると刺激になります。ここで再度質問です。習慣を変えるために必要なこと、大切なことは何でしょう。

 

片柳さん:目的だと思います。それを変えることで行動が変わります。会社を良くしたい、雰囲気をよくしたい、幸せになりたいと思うこと。そして否定しないこと。1点つけても否定しない。1点つけると「何で?」と心配してくれるようになりました。

 

嶋谷:愚痴の大切さについて語ってもいいですか。愚痴はよく出てきますが、愚痴はいいんですよ、本心だから。本心だと回りの人がちゃんと聞いてくれる。愚痴を出しきると、そう愚痴ばかりは言えないから、仕方ないから、改善をしていこうよ、となる。建前は話が進まない。建前は嘘だから、建前をベースにしても何も議論が進まない。本心を語れば議論が進むんですよ

 

志田:目標を達成した時の評価の仕組みが大事ですが、日本は役職に評価がついています。会社の目標が決まっていてそのためにミッションが作られている仕組み。組織図の中での仕事だったが、これからはミッションを中心にしていく必要があるのではないでしょうか。では、片柳さん、最後の質問ですが、半年後の組織のイメージを教えてください

 

片柳さん:会社のことを本音で話せる雰囲気になっていると思います。週に1回のミーティングが徐々に活性化してきていたりと、このまま1年たつと雰囲気が変わりそうという期待感はある。事業部長とも話すが期待感は同じ。Crazy10は答えがないことを考え、人のことも考えられるようになるから面白い。全社で導入してみたいと思います。土壌が整ったら次にどうなるのか楽しみ。

 

志田:組織の中のリーダーは管理が仕事。ビジョン語らないし、予算は振ってくるからメンバーにミッションを配分して指揮するだけ。これからは違う。社員とのエンゲージメントの次はお客様とのエンゲージメントになるでしょう。嶋谷さん、開発者としてこのCrazy10でどこまで皆さんを連れて行こうと考えていますか。

 

嶋谷:一言でいうと、イノベーションの世界。イノベーションを起こせる会社になってほしいと思います。グーグルの社員と話をしたら、ものすごく対話をしていることを知りました。「なぜ対話が必要ないと思うのか。その方が分からない」と逆に質問されました。結構アメリカの企業はとてもウェットだったのです。アメリカのイノベーションは社員エンゲージメントがしっかり根付いているから起こると確信しました。日本では、まず経営幹部のエンゲージメントをやっていくことが必要だと思います。経営層のことは若手からよく見えますから。そして、未来を自分達で作れる会社、それを支援できる会社になりたいと思います。

 

パネルディスカッション動画は下記リンクから。

https://www.youtube.com/watch?v=90yLrtlKjmY&feature=youtu.be

<まとめ>

上場企業の人事、内部統制室、財務、経営企画室などの担当者21名が参加しました。セミナー講師は、当社代表の嶋谷光洋。最初にペア討議を促した際には、動きがぎこちない様子でしたが、グループ演習では各グループに見守りコーチがつきグループ討議を支援しました。グループ討議は各自1分程度でしたが、活発に自分の感じたことを述べることで、参加者の表情が柔らかくなっていきました。5つのグループ演習では、クレージーチームズの5名のファシリテーターが議論を促進。チーム演習をチームで支え、チームの輪が広がっていくようでした。